おぶせの里だより

医療関係者が自身の経験談や体験談、趣味に関する小話をおぶせの里からお届けします。

豊かさと貧しさ

 あるテレビ番組で、日本に住む外国人が今の日本は昔に比べ、相手を思いやる気持ちや「ありがとう」「こんにちは」など他人への挨拶・感謝の気持ちが減っていると語っていました。「生活が豊か」になるのと反比例するかの如く「心の貧しさ」が大きくなっていくという今日の日本を言い当てられたかのようでショックを受けました。

 今、人類は効率と能率の追及により、莫大な利潤と便利さを手にしました。一方で、貧富の差が拡大し、これまでにないくらい差別やテロ・戦争・自然破壊が起きていて混沌としてきています。そんな中決まって犠牲になるのは、弱いもの・女性・子供・お年寄りです。

 イエス様の生きた時代でも、裕福な貴族階級・地主階級・商人たちに比し、「地の民」と呼ばれた「弱々しい人たち」、即ち貧乏人・物乞い・病人・憐れむべき境遇にある人々は、貧苦の中で虫けらのように虐げられて生きていました。そういう人々にイエス様は「弱々しい人(マタイ 5・3)」と語られました。またマザー・テレサは「あなたはこの世に望まれて生まれてきた大切な人。あなたが何であろうと問題ではありません。おなじ神様のこども、かけがえのないあなたです。大切なことは、どれだけたくさんのことをしたかではなく、どれだけ心を込めたかです。私たちは忙しすぎます。ほほえみを交わすひまさありません。ほほえみ、ふれあいを忘れた人がいます。これはとても大きな貧困です。」と語っています。

 大自然に囲まれた地で、忙殺の日常を離れ、静かに自分自身を見つめなおし、一人一人にいつも語りかけてくださる神様の声に声を傾け、「小さきものにされる祝福」を想う時となりますよう願っています。