おぶせの里だより

医療関係者が自身の経験談や体験談、趣味に関する小話をおぶせの里からお届けします。

新型コロナウイルス感染症あれこれ

Q; インフルエンザウイルスなどもそれなりの被害はあるのに、なぜ新型コロナウイルスばかりこんなに大騒ぎになるの? そもそも新型って?

A; 感染専門家でないから大きなことは言えないが、新型って人類が経験したことの無い未知のウイルスと言い換えてもいいんじゃないかな。正体不明の何をしでかすかわからないウイルスっていうやつね。

 

Q;もっとわかり易く説明して!

A:例えば、インフルエンザウイルスに対するワクチンや治療薬のタミフルリレンザ該当する薬剤等がなく、まして抗生剤などは効かない。現在治療は主に対症療法だけ。潜伏期間もまちまち(インフルよりはかなり長そう)、一度陰性と出た患者 が陽性となったり。それに PCR検査は限られた人しか受けられないので、実際罹患している患者はかなり存在していると予想される。毒性・感染力もインフルより強そうだし、重症化率も高いので大騒ぎになるのも止むを得ないね。

 

Q:今回、国が全国すべての学校に休校を要請したけれど、それって感染防止に役立つのかな?

A; これには賛否両論があるが、唐突感も否めないね。現場の混乱は相当なものだろうね。ただ休校自体は一定の効果はあるかもしれないが、根本解決にはならないね。なぜって感染の主役は大人だからね。欲を言えばもっと早く対策を打ち出 してほしかったな。既に中国であれほど騒ぎになっていたんだから。春節で来日する人を選別するとか、集団の集まりにストップをかけるとか・・・、ウイルス感染 は初期対応が極めて大事だからね。SARS ウイルスの時は「このウイルスはただものでない」と国をあげて対策をとった様に思う。この時自分も病院で陣頭指揮をとったよ。日本にもアメリカの CDC のような指揮権のある専門家集団の組織がほしいところだね。

 

Q;今、情報が色々飛び交っているけど、敵の輪郭がおぼろげながら見えてきた様に思うけど・・・

A; 情報通の皆さんの方が詳しいかもしれないけれど、この感染症で云われているポイントを簡単にまとめてみるね。

① ウイルス増殖様式はインフルでは上気道だが、このウイルスは肺でも増殖し、そこの分、重症化しやすいと言われているね。

②潜伏期は数日~十数日といわれているけれど、一か月越えの発表もあるみたいだね。

③感染様式は主に飛沫感染(唾や咳など、手の届く範囲で)や接触感染(手すりやドアのノブなど)と言われているが、締め切った空間ではエアロゾル感染(ウィルスが空中に霧状に漂う)も考えられるね。特に混雑した空間にある一定時間過ごすことで濃厚感染が起こる集団感染(いわゆるクラスター感染)が大きな問題になっているね。そこで感染した人が別の場所で感染を起こす...この連鎖を何とか断ち切ろうと今、行政はやっきになっているね。

④ ごく最近取り上げられたことだが、特に北海道の例で、どうやら若者が感染に大きな役割を担っているらしいことがわかったらしいね。若い世代はこのウイ ルスに罹患しても症状が軽くて済み、せいぜい風邪程度と思い、しかも行動力があるからあちこちに出かけていき、結果的にウイルスを拡散させる。高齢者や持病のある人は重症化しやすいから、このウイルスに罹患すれば大事に至るという図式だね。しばらくは若者も行動を制限するようにとのお達しがでたね。高齢者や持病のある人の死亡率や重病化率はインフルの比ではないからね。

 

Q; いやはやとんでもないウイルスが蔓延したもんですね。それで自分が出来ることって?

A: これは良い質問だね。行政側は勿論、我々一人一人が自覚してこの敵に立ち向かわないと、とんでもないことになりそうだからね、まずは自覚だね。 耳にタコができているかもしれないが、対処法をあげてみるね !

①今、感染の最もリスクの高い場所として病院や介護施設などがあげられているね。自分はもしかしてコロナ?とあわてて病院に駆け込んで、本当は風邪 だったのに、コロナウイルスをもらってしまうことも十分考えられる。武漢でも病院でコロナに感染した人が極めて多いらしいよ。怪しいと思ったらまずは指定の相談窓口に電話して指示を仰ぐことだね。本当に新型コロナだったら、きちんと防御態勢が整った指定病院に入院しないと却って寿命を縮めかねないからね。また定期通院している人も、この時期はできるだけ受診しないで薬だけもらう方法も考えた方がよいかもね。まずはかかりつけ医師に相談して。

②先に挙げた様に密閉した空間に人が密に、一定時間いるのは避けた方がいいね。時々換気も忘れずにね。

③この時期不用不急の外出は控える様にとはお上のお達しだね。

④手洗いはロ酸っぱく言われている様に一番大切かもしれないね。特に外出から帰ったら、石鹸と流水で20~30秒間、隅々までしつこく洗い、アルコール消毒を加えればなお良いかもね。(100万個のウイルスが100個に減っているという実験例もあったよ)

⑤目や口の粘膜からも感染しやすいので、顔を手でこすらない様にと言われているね。

⑥マスクは完全にはウイルス防御出来ないけれど、相手にうつさないことは勿論、飛沫感染に対する予防にも確かになるね。ただ気をつけないといけないのは、マスクの表面を触ったり、外す時、紐の部分でなく表面をつかんで外したり、そのマスクを不用意に置いたりしたら感染リスクを却って高めてしまうから、要注意だね。

こまめに水分を摂るのも効果があるね。胃酸でウイルスを殺せるからね。

⑧後は十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動(人の少ない所での散歩は大いにお勧めだね)などで免疫力を高めておくと、ウイルスをはねつけてしまえるから、大事なことだね。勿論持病のある人は無理しない様にね。

 

Q:この2~3週間が山場っていわれているけれど、本当におさまるのかしら?

A:大きな山になるか小さな山ですむのかという意味でこの期間が設定されていると思うよ。どこで収束するかは、これくらい広がっているから誰にもわからないね。恐らく長期戦は覚悟した方が良いね。ただ少しでも重症者が少なくて済む様に願うだけだね。

 

Q:まだ色々聞きたいことがあるけれど、自覚が大事ということは良くわかりました。

A:そうだね、今回のQ&Aも皆さんが聞き知っている範囲を出ないけれども、予防する上で少しは参考になればと思います。