おぶせの里だより

医療関係者が自身の経験談や体験談、趣味に関する小話をおぶせの里からお届けします。

新型コロナウィルス感染症 最新の知識と対応の指針 ①

     基本をまもり、気をゆるめず、ガードを堅く
            コロナウィルスは数時間空中を漂う     

         ⇨換気の徹底

コロナウィルスは蜂蜜のようにあらゆるところに付着する

      ⇨手指消毒と環境消毒の徹底

 

 

第1章 新型コロナウィルス)感染症への対応指針


原則:新型コロナウィルスには近づかない、近づかせない。
 例:発熱・咳の有る人を同じ空間にいる事を避けることが必要です。電話・Fax で用件を済ますことが出来るなら、そうして下さい。


1、新型コロナウィルスを自分の活動空間に持ち込まない


☆自分は大丈夫、と信じている人へ

           十分気を付けているから自分は大丈夫と思っていても、
              あなた自身の問題には終わりません。

誰でも一旦、感染すれば、それまでの社会的な活動を停止して、経過を観察しなければなりません。どのような事業所でも、一旦、新型コロナウィルス感染が発生すれば、直ちに閉鎖して消毒しなければなりません。職員は隔離・検査を受け、長期間、休業せざるを得ません。

             たった一人の不用意な行動が、

      自分・家族・友人・知人の健康を阻害し社会を破壊します。

その様な事態にならないために、以下を遵守して下さい。

☆あなた自身は大丈夫と信じているかどうかは、どうでも良い事です。
 問題はそのようなレベルではありません。現時点でも、「自分は健康」と信じている人が、既に汚染されていた環境を通過した後に、出先を汚染する事が、現在、感染ルートを辿れない症例の原因の大半を占めていると言われています。


☆自分自身は感染していないと考えていても、第2章で具体的に列挙した環境汚染の危険性は常に存在します。問題は環境汚染に関する事です。環境汚染への予防・対応が、あなた自身と家族・仕事の仲間、知人を守るのです。


2、油断をしない、義理に流されない。
<公共交通機関>などには常に新型コロナウィルス感染の危険性があると思って下さい。
汚染可能性が高い場所への出入りの際には、出来るだけ物の表面に触らないように気を付けて下さい。不用不急の集団参加を自粛する事は社会人としての倫理・義務です。
☆「重要な冠婚葬祭等への不要不急な参加とは別」と言われそうですが、現在の状況からは、そのような催事を持つこと自体が不適切です。「新型コロナウィルス感染症が流行っているから欠席する?!不義理な奴だ。」などと言う人は、この様な状況ではいないはずなのですが、万一、そのような理由から友人や知人を非難する人があったとして、それは本当の友人・知人でしょうか。


3、濃厚接触の可能性が生じた場合には
至急、電話連絡により保健所等に連絡し、自宅待機の上、専門医へ受診し、その指示に従って下さい。


☆働く人へ:有給休暇取得について。風邪の症状や、熱・咳があるとき、感染症が疑われるとき 発熱などの風邪の症状があるときは、有給休暇を使用して会社を休むことも必要です。
休むことは自分のためにもなりますし、周囲の人への感染防止にもつながる大切な行動です。


4、換気
ウィルスを空間に漂わせないことが大切です。密閉空間は危険です。くしゃみや咳などで空中に放出されたウィルスは数時間漂いながら感染性を維持しています。
☆新型コロナウィルスは周囲に液体を纏ったエアロゾル(PM2.5よりも小さいものもあ
ります)の形で空中を漂っています。通常のマスクでこれを避ける事は困難ですが、常時、換気によって外へ排出していれば感染源に接する可能性は小さくなります。

 

5、消毒
1)手指消毒:不特定多数がふれる可能性の有る場所に触れた場合には、エチルアルコール
による手指消毒を行って下さい。
☆自宅を出た後、どの様な物体に触れたのか、記憶にあるなしに関わらず、建物・室内空間に入った時、エチルアルコールが出入り口に設置してある時には必ず、入った時にも出る時にも手指や手のひらを消毒して下さい。
☆ショッピングセンター、スーパー、他の施設でも手指消毒用エチルアルコールが設置されている時には積極的に使用して下さい。
エタノールが売り場の棚から消えています。その為、塩素系消毒剤で手指を消毒しているという話しを聞くことがあります。しかし、塩素系漂白剤は肌荒れを引き起こします
☆薄めたものでも、塩素系漂白剤が皮膚に付いたときはすぐに水道水で洗い流し、石鹸を使って“ぬるぬる”を感じなくなるまで流してください。
☆塩素系消毒薬を使う時や、誰が触ったか分からないものを取り扱う時には、ゴム手袋やナイロン袋*ごしに触って下さい。
*薄いナイロン袋は手袋の代わりになります。袋を手にかぶせて取り扱って下さい。触り終わったらくるくると裏返しながら手から外し、袋の口近くを縛ってそのまま捨ててください。但し、スーパーの荷詰め台にある薄いナイロン袋の独り占めはご法度・マナー違反です。
☆環境物体に触れる場合、2)に列挙された環境・物体に触れる、若しくは触れた場合には作業前後の手指消毒を忘れないで下さい。


2)環境消毒の重要性
新型コロナウィルスは物体表面で数日間は感染性を持っています。→環境消毒の重要性


☆物体表面でのウィルス生存期間
金属表面 ≦5 日(最長 5 日間)
プラスティック表面 ≦9 日
木材 ≦4 日
紙 ≦5 日
ラテックスグローブ ≦8 時間
ディスポーザブルガウン ≦2 日


3)どこを、何を消毒するか?
汚染場所は多岐にわたっています。手や物に一度、付着した後は、生活環境のあらゆる物体の表面に付着が拡がります。しかも、物に付着した新型コロナウィルスは、上に揚げた「☆物体表面でのウィルス生存期間」にあるように長期間、感染性を保っています。

 これらは通常の清掃で大体消失しますが、接触れるものは、きちんと消毒して下さい。
☆感染者の過ごした空間には、“ウィルスが、蜂蜜のようにベッタリ付いている”と思
って下さい。
新型コロナウィルスを可視化出来る蛍光色素があります。患者さんが生活していた部
屋にその色素を撒いてから、部屋を暗くして撮った写真を Web セミナーで見ました。
 その部屋では、生活空間で手が触れたものすべてにべったりとウィルスが付着して
きらきら光って見えました。
 ウィルスは、床はもちろん、天井まで飛んで付いていました。
“蜂蜜のように”という表現はその時に思い浮かびました。まさに蜂蜜が付いた手であ
ちこち触り、物に付き、その物が置かれたところにも蜂蜜が付いた、といった様子でし
た。


☆消毒する場所・もの
ロッカー、床、椅子、ベッド、ベッド枠、窓、照明スウィッチ、排気口、ベッド柵、
洗面所、洗面所シンク内側、
エレベーターのボタン、カウンター、電話・Fax 機器、トイレのドアノブ、トイレ壁・床・天井、便器の中など


4)環境消毒に使用する溶液
汚染可能性の有る箇所には塩素系消毒剤を 0.21%に希釈したものを使用します。市販の
塩素系消毒薬から新型コロナウィルス消毒液の作り方は事項をご覧ください。


6、市販の塩素系漂白剤液の原液から消毒用液(0.21%*)をつくる方法
              
☆次亜塩素酸 Na は、一般的に「塩素系漂白剤」(塩素濃度約 5%、または 10~12%)と
して販売されています。
☆薄めた消毒液は時間が経つにつれて効果がなくなりますので、使うときに原液を希釈して必要な量だけ作り、作り置きをしないでください。
☆塩素は日光によって分解され殺菌力が低下します。原液は直射日光の当たるところや、高温の場所には置かないでください。
☆薄めた塩素系漂白剤を入れたペットボトルには、消毒液であることをはっ
きりと表示してください。
ペットボトルのキャップ 1 杯の容積は、約5ml とされています。注射器で液を入れ
ながら測定したところ、キャップの縁よりわずかに下で5mlとなるようです

☆漂白剤キャップは約 20~25ml で、ペットボトルキャップの約 4 倍ありますから間
違わないように注意して下さい。
☆注意:必要な分だけ作って使用し、作り置きは避けて下さい。
☆原液は刺激性が大きいため、溢れさせるぐらいまで入れながらはかる事は避けてく
ださい。大体の目安でも仕方ありません。
☆0.1%への希釈法しか載っていない場合には、原液使用量を 2 倍にしてください。


◎ミルトン(他製品ではミルクポン、ピュリファン)
原液濃度は 1%です。
0.21%液調整手順:ミルトン 1%を 4.76 倍に薄める。
①原液 21ml(ペットボトルキャップで約 4 杯)を空の容器に移す。
②水を 100ml のラインまで加える。


◎原液 5%の場合(ハイター、ブリーチ、ジノック)
1500ml ペットボトル 1 本からペットボトルキャップ約 4 杯(21ml)の水を捨てる。
2塩素系漂白剤原液をペットボトルに、キャップ約 4 杯(21ml)入れる。


◎原液 6%の場合(キッチンハイター)
①500ml ペットボトル 1 本からペットボトルキャップ 3 杯と 3/4 杯(17.5ml)の水を捨
てる。
②塩素系漂白剤原液をペットボトルに、キャップ 3 杯と 3/4 杯(17.5ml)入れる。


◎原液が 10%の場合(ピューラックス 10、ハイポライト 10)
1500ml のペットボトル 1 本からペットボトルキャップ 2 杯(10.5ml)の水を捨てる
2塩素系漂白剤原液(次亜塩素酸 Na)をペットボトルにペットボトルキャップ 2 杯強
(10.5ml)入れる。


☆上記以外の製品の時には、ボトルに記載の濃度・インターネット製品情報もしくは直接の会社への問合せをもとに、用途に応じ、薄めて使用してください。


7、薄めた塩素系消毒剤の使用法
注意(再掲):
☆商品に記載してある使用方法をよく確認し、特に次のことに注意して使用してください。
☆使用するときは、換気を十分に行ってください。
☆拭き取りに使用したペーパータオルは他のものに触れないようにして捨てて下さい。
☆酸性の強い洗剤と混ぜると有毒ガスが発生しますので注意してください。

次亜塩素酸ナトリウムには、腐食作用・漂白作用(変色や色落ち)があります。使用後はしっかりと水で洗い流すか水拭きをしてください。
☆消毒液が皮膚や衣服についた場合は、直ちに水で洗い流してください。
☆皮膚への刺激が強く肌荒れを引き起こします。使用時には皮膚へ直接触れないよう、必ずビニール等の手袋を使用してください。また手指消毒には使用しないでください。
☆薄めたものでも、塩素系漂白剤が、手やその他の皮膚に付いたときはすぐに水道水で洗い流し、石鹸を使って“ぬるぬる”を感じなくなるまで流してください。
☆金属部分に使用する場合は、錆びたり変色したりすることがあるため注意が必要です。
使用後 10 分程度経ったら水拭きをしてください。
☆スプレーボトルでの薬液の噴霧はウィルス飛散の可能性があるため好ましくありません。
購入物品の表面殺菌用の紙に薬液を浸み込ませるため吹き付けるのは構いません。


☆薄めた塩素系消毒剤の使用法
①利き手に、紙(ペーパータオル、ティシュー、トイレットペーパー等)を持ち、希釈済み
の塩素系消毒剤を十分に浸み込ませ、対象となる環境・物体を拭いて下さい。(拭く場所が濡れている場合には水分を拭き取った後に行ってください。)
 使用後の紙は捨てる。
②金属類は錆を作る可能性が大きいので、後で渇いた紙で拭きとっておく。
③買い物でも汚染されている可能性の有るものは包装のまま同様に拭いて消毒する。
④塩素系消毒薬がまだ乾いていないものは、段ボールの箱に入れ、箱ごと通気の良い場所に放置して表面の乾燥を待つ。
乾燥後は素手で触れても特に問題は無いが、眼をこすったりはしない。

   ひとりひとりの綿密な行動が、自分の健康を守り、
 それぞれの役割を全うする事をもたらしてくれます。