おぶせの里だより

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新型コロナウィルス感染症 最新の知識と対応の指針④ <予防行動・マスクについて>

日常生活での予防行動*(補遺)

1)対人間距離:感染者からの対人間距離を 1m 開けることでウイルス感染リスクは 0.12 倍に減少した。更に 1m 毎に減少効果は 2.02 倍となる事が推定された。
密閉された空間を循環する気流でも吹き付けられない限り、例えば屋外で 2m 離れると急速に感染危険性は下がり、3m で感染危険性は、ほぼ予防できる事になります。

2)フェイスマスク使用は感染危険性を 0.15 倍に減少させる。減少効果は N95 や同様のマスクの方が、使い捨てのサージカルマスクや同様のマスク、例えば 12~16 層の反復利用可能な布マスクよりも大きい。

3)防護眼鏡は感染危険性を 0.22 倍に減少させる。

マスクのくりかえし使用について*(補遺)

1)マスクの再利用について
再利用は「あくまで咳エチケット、つまり、気道分泌物を自分がふりまいたり、自分が他人のそれに直接接触する頻度を少なくするための使用」である事を理解の上でなければならない。
①パッケージ表記の確認
☆洗って使えるタイプ:ガーゼやウレタンスポンジ製マスクで洗濯可・再利用可等の表記があるもの ※選択方法がある場合には表記に従う。
洗って繰り返し使用可という表記の無いタイプ:洗っても機能上は元の機能を保たない。
洗って繰り返し使えるタイプでは無いマスクを洗って再利用するしかないときの
3つのポイント
☆中性洗剤で、もみ洗いでは無く、押し洗いをする。※漂白剤・柔軟剤使用は不可。
☆十分なすすぎをする。
☆熱に弱い材料が使われているマスクもあるため、型くずれを軽減するためにも乾燥機は使わずに十分に乾燥する。

2)基本的に外したマスクの再利用はおすすめできない
一般的に使われているサージカルマスク(不織布でできたマスク)は、内部の 3 次元的な網目構造を利用して病原体を吸着しています。そのため、不自然な形で折りたたんだり、洗ったりすると、この 3 次元構造が破壊され、効果がなくなってしまいます。ゆえに、一度外したマスクは再使用しないというのが基本です。
マスクの効果を保持するためには形を崩さないことが大切なので、マスクを静かに外したら、外した形のまま清潔な紙袋などの中に保管します。形を崩さず、湿気のない状態で保存することがポイントです。再び装着するときはマスクのひもを持ってそっと取り出し、やはりマスク表面には触れないようにつけてください。しかし、この方法は「最終手段」であって、二度、三度と使いまわすのはおすすめできません。

3)N95 マスクの除染(除菌)方法
N95 の除染(滅菌)方法
☆4 つの除染(滅菌)方法 (1)加湿熱、(2)紫外線(UVーC)、(3)過酸化水素蒸気、(4)時間の使用についての文献が引用されている。
(1)加湿熱の使用:N95 マスクの熱湿度による SARS-CoV-2 の不活性化については、さらなる検証が必要。加湿熱を使用した除菌は容易に実施可能・低コストの策の一つになり得る。しかし、過度の加熱サイクルは N95 マスクの密着性とフィルター性能を損なう恐れがある。さらにこの方法は細菌やカビのリスクからは保護されない。
(2)紫外線(UVーC の使用:センサーを利用し、適切に 1.0J/cm2 以上の UV-C 線量を N95 マスクに照射できれば、この方法で SARS-CoV-2 を不活化できる可能性は高い。
しかし、これはまだ SARS-CoV-2 で直接検証されたわけではない。
(3)過酸化水素蒸気の使用:「 マスクの例外的取扱いについて(厚労省通知令和 2 年 4月 10 日)PDF」で紹介されている除染の方法。N95 マスクに有機物が付着していない限り、SARS-CoV-2 と細菌芽胞を不活化する可能性がある。ただしこれらの方法において必要とする除染時間と推奨の最大使用回数は完全に異なり、誤った使用は除染の失敗やN95 マスクのフィルターおよびフィット性能を損なう可能性がある。
(4)時間を用いた室温での除染:他に選択肢がない場合、使い捨てタイプの N95 マスクの再使用は、間隔をあけて適切に保管することで、SARS-CoV-2 を十分に不活化する可能性がある(FDA はウイルス活性が 1/1000 に減少した場合に不活化したと規定)。
清潔な状態で、室温で 7 日間保管すれば、ほとんどの状況で十分な SARSCoV-2 の不活化が得られる可能性がある。この方法では、細菌やカビの重感染のリスクに対して除染を行うことはできない

N95 マスクの再利用時の注意:以下の方法(X)は N95 マスクの濾過効率を著しく低下させるか、または生物学的汚染物質を十分に不活化できない。N95 マスクの除染には使用しない。
×)石鹸水:石鹸水に浸漬すると複数の N95 モデルで濾過性能が低下する。微粒子を付着させやすいように帯電しているフィルターの帯電性が落ち性能が低下すると考えられる。
×)アルコール:フィルターに直接ダメージを与え、性能が低下する。
×)漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム):漂白剤を含む溶液に浸漬すると N95 マスクの濾過効率が低下する。ただし、漂白剤を含むワイプ(0.9%次亜塩素酸塩)で 3 回拭いてもいくつかのモデルの N95 マスクには損傷を与えないことも示されており、表面を拭くなどには利用できる可能性がある。また、漂白剤の残留には健康リスクがあり、特に喘息や過敏症のある人には危険。
×)一晩の保管:SARS-CoV2 は環境表面で 3 日間以上、活性維持できることが報告されている。室温で一晩置いただけでは N95 の除染は十分でない。

 

 ひとりひとりの綿密な行動が、自分の健康を守り、
それぞれの役割を全うする事をもたらしてくれます。