おぶせの里だより

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新型コロナウイルス感染症Q&A 第二弾(1/2)

Q: インフルエンザも被害は相当なものですが、なぜ新型コロナウイルス感染症がこれだけ大騒ぎになっているのですか? そもそも新型って?

A; 新型ウイルスとは人間界に初めてもたらされた未知のウイルスを指し、対応を誤ると何をもたらすかわからない、最大限警戒すべき病原体で、そもそもインフルエンザと比較すること自体誤りである。

 

Q; 具体的に何が怖いのですか?

A;

  1. インフルエンザのワクチンや、治療薬(タミフルなど)に該当する薬剤が無い。
  2. ワクチンや新薬開発はまだ実験段階で、実用化する迄多くの壁がある。
  3. 抗生剤は効果なく対症療法のみ、回復のカギは自身の免疫力にあり、重症化すれICUや、人工呼吸器・ECMO が必要となるケースが多い。
  4. 無症状でも容易に感染させ、潜伏期間もインフルより長く幅がある。
  5. 感染力や毒性はインフルよりはるかに強く、感染が拡大すれば突然変異し、第二波・第三波とステージが進めば、より凶悪化する恐れもある
  6. 気温上昇で消退に向かうかは不明、感染が爆発すれば長期に及ぶ恐れあり。
  7. 現在感染数値が低いのは、厳重な警戒態勢を敷いているからに他ならない。
  8. その昔、スペイン風邪という新型ウイルスが世界に蔓延(パンデミック)し、全世で約5億人が感染、数千万人(日本では数十万人)が亡くなった例もある。

Q情報が種々飛び交っていますが、敵の正体が少々見えてきたと思われますが?

A; 現在 わかっている範囲でこの感染症の特徴を呈示する。

  1. ウイルスの主な増殖部位がインフルでは咽頭等上気道中心だが、新型コロナは上気道に加え肺の奥でも増殖、重症肺炎を合併し易く、高齢者や持病ある人は死亡率重症化率がインフルに比べ格段に高い。初期症状に発熱・咳・咽頭痛・倦怠感・味覚嗅覚異常・嘔気・下痢等があるが無症状のことも多い。
  2. 最近明らかになったことは、肺炎以外にも全身血管の炎症・血栓形成等による多臓不全や免疫暴走等が死因にあげられ、比較的若い世代でも少なからぬ罹患例が報告されている。
  3. 軽症と診断された罹患者でもインフルとは比べ物にならない程辛い体験をしたとレポートが数多く寄せられている。
  4. 罹患し・回復した後、再感染の有無は不明、回復しても肺線維症など後遺症が残るリスクがある。
  5. 国民の多数がする集団免疫により流行の終息を提唱する向きもあるが、その辛さを経験していないから呑気なことが言える。死亡した場合、家族は一切面会出来ず、お骨になり初めてご対面という凡そ非人間的な経過や、医療崩壊という面からも、罹患しないよう最大限の努力をすべきである。
  6. 潜伏期は数日から2週間前後と云われているが、30日超えの報告もある。
  7. 感染様式は主に飛沫感染(喉や煙など手の届く範囲)接触感染(てすりやつり革、ドアノブなど)だが、密閉空間では飛沫が空中に漂って感染する飛沫核感染(空気感染)もある。特に人が密集し締め切った空間に一定時間過ごす(三密)と感染の連鎖が起こる、いわゆるクラスター感染(集団感染)が話題と なっている。 当初、「若い世代が感染拡大に大きな役割を担っている様だ、何故なら若い世代は症状が軽く行動力がある為知らずに広範囲にウイルスを拡散させている」と警告が出されたが、中高年でも多数、無自覚でウイルスを拡散させてい ることが判明している。

Q先般、全国すべてに休校要請が出たが、感染防止に役立ったのでしょうか?

A: これには賛否両論あり、現場の混乱もあって唐突感も否めない。ただ休校自体は一定の効果はあったかもしれないが、子供が罹患し易いインフルとは大分様相が異なる。それより大人に対する感染防止策の方がはるかに重要と思われ、 遅ればせながらに非常事態宣言が出され、その後解除された。

 

Q何故大人ですか?

A:

  1. 子供はある程度行動範囲が把握出来るが、大人は多様の行動をとり感染リスクも大である。その為PCR検査によるチェックが重要だが、日本では検査件数が極めて少なく、感染報告者数と実数で大きな乖離がある。
  2. 特にこのウイルスは無症状や軽い症状の人でも感染を起こすという、極めて厄介な性質を持っており、しかも感染力は強力で、パンデミックの原因となっている。
  3. 感染が一旦爆発すれば欧米の二の舞になりかねず、目先の対応、経済対策などは吹っ飛んでしまう。爆発する前に人の動きを止めることが肝要で、その為 に今回非常事態宣言が出された訳だが、この手の対策は先手必勝に尽きる。対策が早ければ早いほど流行も長引かず、経済的打撃も少なくて済む。
  4. 中国は一党独裁国家で、強制的に人の動きを封じ込め、感染率は減少に転じ、 効果がみられている様だが、日本は民主国家ゆえそう簡単ではない。 尚、流行初期の中国当局の対応には大きな疑問が投げかけられている。
  5. 一般に国民の2割は自主的に対応、6はお上次第、2は従わないなどといわれ、医療崩壊が起きつつある中で、非常事態宣言は止むを得なかったと思われるが、一方で経済的困窮に陥いる人は数知れず、国家が中心となって、 困窮者に全力で経済的救済を実行する両面政策が必須と思われるが、対策が遅々として進まないのは何故か?

                                   (つづく)