おぶせの里だより

医療関係者が自身の経験談や体験談、趣味に関する小話をおぶせの里からお届けします。

こころの豊かさを求め、自分探しの旅(母校での講演より)<4> (1/2)

識字率

 バングラデシュでは、識字率というのは10年前で大体25%といわれています。識字率25%ということは、100人いれば読み書きできる人が25人しかいない、4人に1人しか字の読める人がいないということになります。今は改善してきていますが、さほど変わっていないようです。日本のように義務教育をと考えているようですが、何せ貧しく、小さい子供も労働力となっているために思うようにいかないのです。3歳くらいの女の子が自分で摘んだ草花で首飾りを作って売って歩いていたり、小学生くらいの男の子が雑誌あるいは新聞とかお菓子などを売って歩く姿をいたるところで見かけました。最近教育の重要性というのがわかるようになって、日本でいう江戸時代の寺子屋に似せて、寺子屋式の学校をバングラデシュに造ろうという運動が、日本のNGOが中心になって募金活動をしています。実際に何校か造って非常に喜ばれています。今後一つのモデルとなって、全国に普及するのではないかと期待されています。しかし、最初のうちは学校に子供たちは通いますが、最後まで卒業するのは裕福な家庭の子供だけ、ほとんどが途中でドロップアウトしてしまいます。それでも、一家の中で一番賢そうな子がいると、一族郎党で支えて勉強させます。そしてその彼が成功して一旗揚げると、一族郎党全員が彼の所に転がり込んで、同居するようになります。これは、本人も周りも当たり前だと思っています。ここにも日本では考えられない、分かち合いのようなものが見られます。こんなに識字率が低いと、選挙の時どうするんだろうと心配されるかもしれませんが、心配ありません。どうするかというと、それぞれの候補者が名前を言っても書けないので、シンボルマークを使います。例えば、傘のシンボルマークは候補者のAさん。アヒルのシンボルマークはBさんといった形でアピールします。候補者は壁や板塀にそのシンボルマークを描いてアピールするわけです。そして投票の時には、その投票用紙に候補者の名前と名前の前にシンボルマークが付いているので、シンボルマークの所に丸をつければ、字が読めなくてもその人に投票できるわけです。

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 街には仕事のない人もたくさんいます。物は豊富にあります。特に果物が非常に豊富で、何でも揃います。ただ、お金を出せば揃うということで、お金のない人は何もできないわけです。ダッカのバザールでは非常に綺麗なサリーなども売っています。

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彼らの唯一の娯楽というと、テレビとかそういうのは本当に豊かな家庭にしかないので、映画、これが一つの娯楽になっています。インドから映画が入ってきて、映画館で上映します。バザールではカメラ屋さんや雑貨屋さんもあります。値段の交渉なんかも行われます。

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日本人向け外国人むけにお土産を売っているシャリフマーケットというものもありました。

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田舎の方のお店では、とても小さいところで物を売っています。それでも結構裕福な方に入るんだそうです。ドイという非常に甘いお菓子がお土産屋さんで売っています。日本でいうケーキ屋さんです。ヨーグルトに砂糖を沢山まぶした様な、本当に甘くて、私なんかはあまり食べられませんでした。

                (つづく)